昨年の11月の話になってしまいますが、サイエンスアゴラ2023にて幾何学に関するWebアプリケーションを展示しました。 サイエンスアゴラについては公式サイトを見てもらうのが早いかと思います。 このイベントには様々な企画がありますが、各出展者が科学に関する展示を行うブースがあります。
ここ二年ほど、日本テセレーションデザイン協会会長の荒木さんにお誘いいただき、ワークショップや展示を一緒に行っており、今回もサイエンスアゴラの協会ブースに私のWebアプリケーションを置かせていただきました。 ここでいうテセレーションとは簡単にいうとタイル張り(模様)のことです。 今年の協会活動内容や今回の展示内容としてはこちらの協会誌をご覧ください。
2023年版 #テセレーション 協会誌が刷り上げました。この一年の活動実績や協会メンバー/ゲストメンバーによる記事をご覧いただけます。今週末にイベントから配布しますのでお声掛けください。
— Yoshiaki Araki 荒木義明 (@alytile) 2023年10月15日
本協会誌及びバックナンバーはウェブでも公開中です。https://t.co/5498WlHpAB pic.twitter.com/yL3dJHQF2g
私はというと、この表紙の右上に描かれているフラクタルについて書いています。
当初、展示にはこのフラクタルを描画できるWebアプリ、SchottkyLinkをタブレット端末用に最適化して持っていく予定だったのですが、実装が間に合わず、急遽別のものを持っていくことにしました。 大分昔に書いた Hyperbolic Tessellatorです。
双曲タイルにカメラの映像を貼り、それをタイル張りするソフトです。これはずいぶん前から公開していましたが、展示としても適しているということでこちらを持っていきました。 一応マウスでパラメータを操作することができますが、それ以外の入力はカメラであるので、体験するハードルは非常に低いです。
このイベントは小学生以下の子供を連れた親子が多く、子供はマウスによる操作が難しい場合が多いです。 一方、タッチパネルの操作がうまくできる人はいて、ノートパソコンの画面をピンチ操作しようとする人もいたので、タブレット端末などの操作になれているのでしょう。 そのため、Schottky Linkもタブレット端末用に最適化する必要があったのですが、実装を間に合わせられませんでした。 Hyperbolic Tessellatorはパラメータ操作をマウスでするようになっていますが、基本的に体をカメラに向け、体を動かすだけです。ほぼ説明不要です。
原理の説明としては、万華鏡の例えを用いています。これは協会誌にも同様のことを書きました。 万華鏡は筒の中に鏡とビーズなどのオブジェクトを配置し、それをのぞき込んで鏡に反射した様々な像を楽しむおもちゃです。 通常、鏡は平らなものを用いますが、それが曲がったもの、球面状のものであったならばどのような像が得られるでしょうか? 球同士による反射はクリスマスオーナメントやパチンコ玉のような物体を隣合わせておくことで確認することができます。 しかし、万華鏡として楽しむことは難しいでしょう。それを疑似的に再現しているのがこのアプリケーションです。といった説明です。
体験していただいた感触としてはなかなか好評だったように思います。 私はこの手の図形に見慣れており、特段面白くはないだろうと考えていたのですが、会場に来る人達には全く見たことのない興味深いものに見える、ということは気に留めておかねばならないと思いました。
今年の春あたりにもアプリを展示する予定があります。現在そちらに向けて準備を進めています。より良いものをお届けできるよう精進いたします。