ハチラボで開催されたテセレーション展でポワンカレの迷い鏡」を展示しました。

2024年4月23日(火)〜6月30日(日) こども科学センター・ハチラボで開催された「テセレーション展 あそんでたんきゅう!しきつめアート・パズル」に自作のアプリ「ポワンカレの迷い鏡」を展示しました。

www.tessellation.jp

今回の企画展は、日本テセレーションデザイン協会の協力です。

万華鏡のような図がモニタに移っており、ゆっくりと変形していきます。 参加者はカメラの前に立ち、無限に写されていく自分の姿を見ます。体を動かしてみることで鏡映による対称性を体感することができます。

アプリについて

この展示作品は大分前に制作したHyperbolic Tessellatorを元にしたものです。以下のURLから試すことができます。

Hyperbolic Tessellator

HyperbolicKaleidoScope

ここで描画されているのは双曲タイリングと呼ばれる、円盤を敷き詰めるタイル張りです。 エッシャーの天使と悪魔という作品のモチーフになっているのが有名です。タイルは円周に近づくにつれて小さくなっていき、無限に続いていくため、うまくコンピュータで描くには少し工夫が必要です。それについては以下の記事で書きました。

soma.hatenablog.jp

さらに、円盤上での敷き詰め模様を変形し、よりインパクトのある図形を描画する手法も導入しています。これについては以下の論文で書かれています。

archive.bridgesmathart.org

そして、タイルにカメラ映像を投影することで、万華鏡のように楽しめるようにしました。

元々のアプリにはUIがついており、各種パラメータを手で弄れるようになっています。しかし、今回の科学館における展示の対象となる年齢層は小学生くらいであるので、よりシンプルに、操作もいらないものにしました。タイルの変形パラメータは時間と共にゆっくりと変化していくようになっています。

また、展示用アプリケーションとするにあたり、Electronで起動できるようにし、起動時と終了時、エラー時にはSlackへIncoming Webhooksで通知を飛ばすようにしました。幸い、展示期間中に問題は起きなかったようです。

機材について

PCによる展示を行うにあたり、機材を用意する必要があります。予算も限られているので、どの程度のスペックのPCならば問題なく動くのかというのは重要かと思います。

今回のアプリは、シェーダを使って描画していますが、求められているスペックは高くありません。WebGL2.0が動作するブラウザが動けば問題はありませんでした。今回は中古のノートPCを用意していただきました。場合によっては快適に動作するPCでベンチマークをとってPCを選定する必要があるかもしれません。

USBカメラについては解像度とフレームレートが重要なところかと思います。あまり解像度が高くても無駄になってしまうと思いますが、ブラウザ側で解像度とフレームレートの組を選択できるので、それなりのものを用意すれば問題はないと思います。

私は以下の製品を使っています。値段も手ごろでスペックも申し分ないです。

DEPSTECH Webカメラ DW49

モニタについてはアスペクト比が重要になります。開発環境のモニタと本番環境のモニタでアスペクト比が異なると見え方が異なってしまいます。また、画像はシェーダで計算しているので解像度が高いモニタほど負荷が大きくなります。今回の展示では1920x1200ほどでした。

解像度とは別に画面の大きいと、より没入感がでると思います。今回は会場の大きなモニタで映してもらいました。

おわりに

ハチラボにおける企画展は既に終了しています。アンケートによると評判はよかったようです。 体験された方の反応や意見をもとに、改善を加える予定です。現時点で考えている改良は、なんらかのインタラクティブ性を加えることです。

例えば、フラクタルの境界にズームしていくデモは非常にインパクトがあるのですが、手で操作して見せることしかできていません。例えば、顔を近づけるとタイルの端にズームしていくといった見せ方はありかもしれません。

また、タイルは一種類しか用意していません。その他の種類のタイルも入れたいところです。ただ、タイルの種類をどのように切り替えるのかはうまく考える必要があります。タッチパネルなどのインターフェースは必要となるのかもしれません。カメラを使用しているので、ジェスチャも可能ですが、検討することは多いです。

最後に、つくばエキスポセンターで行われている「たのしい図形ふしぎな図形すてきな図形の大集合」という企画展でもこのアプリを展示していただいています。開催期間は2024年11月16日(土)から2025年1月26日(日)までです。

www.expocenter.or.jp

以上となります。ありがとうございました。